毎月21日更新 新着情報

2026年4月21日新着情報

1 川べりの読書会

 昨年10月、このページでご紹介した奈良市佐保川べりの「Book Café 川べり」。そのお店で、桜が咲きそろった三月末に開かれた読書会、そこに招かれて参加しました。「初学者向け・名著読みかじり」と銘打たれた第3回に取り上げられたのは、和辻哲郎『風土』。私は、その回の「案内人」という資格で、ガイド役を務めることになりました。

 佐保川を見下ろす2階の談話スペースに集まったのは、10名の社会人・学生。それに主宰者である白石さんと私とで、12ある席が満席になりました。そういう読書会の場で、案内人である私が何をしかけたと思われますか。「初学者」が集まることを想定して、その一人一人に本との接点をつくってもらい、『風土』と〈縁〉を結んでもらうことを考えました。本との〈縁結び〉ができるかどうかは、相手次第。こちらが仕組んだからといって、どうなるものでもありません。まかりまちがっても、「講義」などしてはいけないと。このページを読んでくださる方であれば、それぐらいのことは察しがつかれることと思います。

 読書会についてのこちらの考えを説明した後、最初にしたことは、全員の自己紹介。参加者は、男女がちょうど半々、年齢も20代の学生から60にかかるぐらいの退職者まで、「老若男女」という事前情報のとおりの顔ぶれでした。『風土』をまだ手にしたことがないという人がいるかと思えば、若い頃に読んだことがあり、これから再読を期すという人、哲学に関心があり、お店で開かれている「哲学カフェ」との縁から参加したと語る人もいました。アメリカ人の男性は、座禅をつうじて道元や和辻に関心をもったというように、とても「初学者」としてひとくくりにできる方々ではないということが、それぞれの発言からすぐに見えてきました。これぞ私の期待する哲学対話のメンバーである、という手応えを感じて、上々のノリでお役目を果たしたことは言うまでもありません。

 当日用の資料として用意したのは、この会のために作成した「和辻哲郎の生涯と『風土』」という紹介文、それに『風土』の「序」と、全五章のうち「第五章 風土学の歴史的考察」を除く四章の中から、私にとって気になる箇所を抜粋したアンソロジーです。これらの文を参加者に順に読み上げてもらい、それぞれに表現されている著者の考えをめぐって、私からのコメントと参加者からの意見や質問を突き合わせての対話を展開しました。こちらから仕掛けた点を一つ挙げるなら、和辻哲郎を「偉い哲学者」として祀り上げるのではなく、等身大のふつうの人間として扱う所作をとったことです。主宰者がつくってくれた資料集(パンフレット)には、表紙の和辻以外に、西田幾多郎、ハイデガー、ヘーゲルといったコワモテの哲学者たちの写真が載せられています。それを示しながら、哲学はこういうコワイ顔をしたオッサン連中の独占物ではありませんよ、というギャグをかますところから本題に入りましたが、この話は受けたようです――ホンマかいな

 読書会の余韻は後を引いたようです。参加した人の中には、終了後も店内に残って議論を闘わせる人がいたとか。次もやってくれ、というリクエストが出されたとは、店主である白石さんの証言です。たぶん、いつか再出演の機会が生まれることでしょう。今回とは違う季節に、風光明媚な〈対話の場〉に身を置くことを楽しみにしています。

 →イベントチラシ_読みかじり_和辻哲郎

2「東アジア哲学研究会」での研究発表

 1の読書会につづいて、翌日3月30日に開催された標記の研究会で研究発表を行いました。主催は、京都大学人間環境学研究科の福谷彬研究室。福谷ゼミに所属する中国人留学生黄志博君(D1)が中心となって、文字どおり東アジアの研究者が広く交流する機会とすべく、Zoomによる同時中継が行われました。

 最初に登場した私の発表題目は、「東アジアにおける〈中〉の思想」。「基調講演」として扱っていただきましたが、議論を深めるには時間――質疑を含めて40――の制約がありました。発表内容は、いずれ本ページで紹介させていただきます。

3 木岡哲学塾の活動状況

Ⅰ 木岡哲学対話の会

 2026年度の第2回は、以下のとおり行われました。

2026年度第2回木岡哲学対話の会

《志を活かすために》

日時:4月5日(日)13001600

会場:大阪駅前第三ビル17F8会議室

内容:

 1)哲学講話:《あいだに立つ――第三者の役割》

  環境を〈私彼〉三者の構造としてとらえ、傍観者である〈彼〉が当事者(私、汝)に転化する可能性、第三者の果たす役割を検討しました。

  〈あいだ〉に立つ

 2)哲学対話:《1400年の祈りか、「火の道」か》

  大阪上町台地に位置する四天王寺などの宗教施設。勝山高校の跡地にマンションが建設されるなど、火災時の逃げ場を失った状況に危機感を抱く発表者が、都市防災上のリスクを豊富な資料を用意して解明しました。

 哲学ゼミ

 3月15日に、次のとおり行いました。

〇日時:2026315日(日)13001600

内容:

 1)プラトン『国家』総括

  全10巻の読解をつうじて、いかなる教訓が得られ、またいかなる問題点が見出されたか。参加者それぞれによる〈総括〉が行われ、主宰者(木岡)もカール・ポパーによるプラトン批判を紹介して、検討に供しました。

  ポパーによるプラトン批判

 2)その他

  相談のうえ、『国家』の次に読むテクストを、ルソー『社会契約論』(岩波文庫)に決定しました。

 個人指導

参加者個々の事情に合わせて、読書指導・論文指導・発表指導などを続けています。常時78名を相手に、24週に1回程度のレッスンを継続しています。「木岡哲学対話の会」や他の催しでの発表に合わせた指導も行っています。遠隔地に移住したメンバーとは、Zoomを利用したリモート形式の指導を行っています。

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