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#513
浦靖宜
ゲスト

私は陰謀論には立ちませんが、今回のパンデミックで、国際社会のパワーゲームで中国がかなり上手く立ち回っている、経済的な国力だけでなく、衆愚に堕しがちな西洋の民主主義よりも、一部のエリートがきちんと大衆を管理して幸福にしてあげる統治の方がいいんではないか?といった議論が盛り上がっています。もちろんそうした議論は昔から、それこそプラトンから論じられています(そもそもソクラテスはアテナイ民主制によって殺されてしまっているわけですし)が、ここまで真剣に論じられるようになったのはなかったのではないかと思います。(プラトンも真剣に論じてましたけどね)香港の民主化運動も感染症を相手にしては妙手なく、下火に。これらかの政治運動はどうすべきなのか。

一応、民主主義者の私としては困ったことです。とはいえ人間の傾向性を考えるとそうなってしまうものなのかなと思います。啓蒙が大事だとカントは言ってましたけど、80億人啓蒙するのは結構難しくないかな。
私は日本史が好きだったので、東アジア中心に物事を見がちです。サッチャリズムやレーガノミクスも鄧小平の門戸開放路線の後追いでは?と思ってしまいます。中国は1000年前の宋の時代に貴族制が廃止され(日本風にいえば四民平等ですね)、試験に合格さえすれば誰でも高級官僚になれるシステムに切り替わりました(内藤湖南の唐宋変革論)。経済活動も全く公的なセーフティネットがない代わりに一切自由で、ただ皇帝が君臨しているので政治的自由だけがない国家でした。政治的には不自由だけど、それ以外は自由。それが中国の基本であり、共産党が支配している中華人民共和国の時代だけが特殊なのです。それが鄧小平の頃から徐々に元に戻ろうとしている…(この辺りの議論は歴史学者の與那覇潤『「中国化」する日本』を参照。また汪暉の『世界史のなかの中国』も面白いです。文革以降の中国を「脱政治化」と捉え議論しています。その影響の一つが、資本主義の「自然状態化」です。)

マルサスの頃はまだ近代の発展段階のため、わからなかったのですが、人口が増加し、社会が豊かになると(人口が増加し、労働者が増えるとGDPが上がります。日本のGDPが高いことの多くは各国に比べ人口が多いためです。インフラが整えば、人口の多い国ほどGDPは高くなります。)、女性教育が行われるようになりやすく、女性教育が行われると基本的に出生率が下がるため、そこで調整が働きます。

前置きが長くなりました。
確かに、天災や疫病を超越的な何かによる調整のように捉える想像力は色々な物語に見られますね。ガンダムの『逆襲のシャア』がそんな感じでしたし、最近ではアベンジャーズのサノスがまさに今回の質問を真に受けたヤバイやつってことになりますね(笑)
私の答えは「押しません」
100年後滅ばないようになんとかみんなでがんばろう。それで滅んだら、もういいじゃん。ってことで。
仮にボタン押して、100年後の滅びは回避できたとしても、いつか滅ぶんだしね。
そうなると全部が無意味なので、じゃあ「押しても押さなくても構わない」が正解かしら?
でも自分や仲間がそれで死ぬのは嫌なので、「押しても押さなくても結局は同じだから、今、痛いめに合う可能性を回避したいので、押さない」を答えにします。
次の問題は、じゃあサノスのように他人がそれを押そうとするなら止めるべきかですね。サノスからは「100年後の人のことを考えないのは自己中心的だ」と批判されそうです。「すでに死んだ人たちや未だ生まれていない人たちのことも考える」ことが大事だと私も思っているので、悩ましいですね。とはいえ、だからって半分殺していいわけでもなく、半分殺した人たちの子孫が生まれなくなっちゃうので、どっちもどっちな気がしますね。

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