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#583
浦靖宜
ゲスト

事故等の賠償での生命と金銭の関係は「逸失利益」を測る場面でよく取り沙汰されますね。
その人がもし生きていたら、稼いでいたであろうと想定される金額は当然に人によって異なるわけです。
その人の職業や年齢(平均余生から考えて、事故がなければどれだけ生きられたであろうか)などをもとに計算します。
もちろん生命の価値を測ることはできませんが、ひとまず経済的な尺度から金銭的価値を計算することは可能です(あくまでも予測ですが)。その人が経済的に稼いでいること=金銭的な賠償とその人の生命の価値は別物ではありますが(そもそも生命の価値は測りようがありませんが)、今のところ賠償と刑罰くらいしか、やったことの責任を測れないので、そこにこだわるしかないという状況だと思います。
その点、kibaさんのおっしゃる加害者が被害者の意志を継ぐというのは、金銭的価値とはまた異なる価値の補填と考えられるかもしれません。パッと具体的な実際の事例は浮かびませんが、世界のどこかではありうる話だと思います。ヨーロッパでは教会などが間に入って、加害者と被害者とのコミュニケーションの場を作る、修復的司法といったあり方があります。そうした実践から何か生まれることがあるかもしれません。
フィクションで似た事例としてはブラックジャックの寿司屋のエピソードが思い出されます。
ブラックジャックの通うある寿司職人が交通事故にあり、自慢の両腕を失います。
トラック運転手の加害者は被害者である寿司職人への償いのため、自分を寿司職人にして欲しいと、握りの指導を頼みます。
見事、被害者の寿司職人と同等の寿司を握れるようになった運転手ですが、彼はその後事故にあい、死んでしまいます。
再び自分の両腕を失った寿司職人ですが、死んだ運転手の腕はまだ生きているため、ブラックジャックが彼の両腕を寿司職人に移植し、再び彼は寿司を握れるようになったという話です。
被害者の意志を加害者が継ぎ、さらに加害者の意志を被害者が継ぐというお話ですね。

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