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2026年8月21日新着情報

1 出版情報

 この秋、久しぶりに本を出します。たぶん10月ごろ、『〈中〉のロゴス――東アジアの目から』、萌書房、が書店に出回るでしょう。エッセイをお読みくださっている方は、〈中〉を主題とする対話が、最近目立って多いことにお気づきかと思います。私がこれまでに出版した著作の中で、比較的反響の大きかったものに、『〈あいだ〉を開く――レンマの地平』世界思想社、2014年、があります。タイトルの「あいだを開く」は、一種のキャッチフレーズとして世に浸透し、さる有名な方――ゴリラの研究で知られた某大学の元学長――が使用している、という事実を伝えてくれた知人もいます。二元論が閉ざしてきた人と人のあいだ、人ともの(自然)のあいだ、を開くというスローガンには、かなりのインパクトがあったようです。国際武道大学の松井完太郎学長が、私の出張講演を企画されたさい、まとめて10冊注文したけれども、品切れだったとのこと。2年前の話です。

 『〈あいだ〉を開く』から10年後に、こんどは〈中〉をテーマとする本を書くことを思い立ちました。なぜ、〈あいだ〉ではなく〈中〉なのか。その理由は、新著の第一章で説明していますが、〈あいだ〉と同じ意味で用いられる〈中間〉から、「間」つまり〈あいだ〉を除いた、〈中〉それ自体の意味を追究しなければならないことに思い当たったからです。昨年の夏場から執筆にかかったものの、なかなかはかどりません。主な要因の一つは、〈中〉それ自体を問題にする研究の先行例がないこと。〈中〉とは何かを理論的に追究した研究が、存在しないことです。この点は、〈邂逅〉(出会い)の問題とよく似ています。人と人が出会う、という当たり前の事実が問題にされることのない世界。そこにおいて最初に問われなければならないのは、「どうして邂逅が問題にならなかったのか」です。それと同じく、今回の著書でも、現在の世界で〈中〉の意味が考えられないのはどうしてか、を問題として立てることから始めなければなりません。それは、テッペンに立つことをよしとする風潮――本の中では「頂極主義」と名づけ、〈中〉に定位する「中道主義」と対比しました――が、西洋古代から近代に至る二元論の流れから生じて、現在の世界を覆っている事実を物語っています。

そういう西洋思想の潮流に対抗させることができるのは、東アジア(インド、中国、日本)に生きている〈中〉の思想です。とはいえ、〈中〉の思想を具体的に示すことは、とても難しい。哲学の世界では、〈中〉を認めない規則(排中律)を前提とする形式論理の立場が、大前提となっているからです。そういう世界において、〈中の論理〉を主張することができるのだろうか。筆が進まず苦労したのは、この疑問にぶつかったからです。この難題をどうにか乗り切れたのは、ふつうに使われる「論理」ではなく、もっと広い意味での「ロゴス」(意味のある言葉)を具体的に示す、という方針を立てたことによってです。

執筆に苦労した最大の理由は、〈中のロゴス〉という目標を確認するのに手間取ったこと。そのことに関して、アタマのはたらきが鈍ってきた、という事実を挙げなければなりません。点火するのにヒマがかかるようになった高齢者のアタマは、しかしいったん火がつくと、すぐには鎮まりません。仕上げた原稿を提出したちょうどそのころに、別口の執筆依頼が舞い込んできました。8年前に『〈出会い〉の風土学――対話へのいざない』を出版した幻冬舎の編集者から、同書の改訂版を出す気はないかという打診です。その件は即座に断ったものの、意中の新しいテーマをこちらから提示したところ、即OKとのこと。テーマは「対話」。『哲学は対話である』――このタイトルで、全篇を対話篇とする次著に取りかかる手はずが、トントン拍子に整いました。

以上が、最新の出版情報です。

2 「木岡哲学対話の会」参加者募集

募集人数:若干名

 「木岡哲学対話の会」は、本年7月より会場を変更して、従来どおりの活動を続けています。12名定員の旧会場から20名収容の現会場(大正区コミュニティセンター)に移ったことにより、新たに参加者を受け容れることのできる余裕が生まれました。参加を希望される方は、下記のアドレス宛に、理由を添えてお申し込みください。申し込み先着順につき、ご希望に添えない場合があることを、あらかじめご了承ください。

 申し込み先:n.kioka@s3.dion.ne.jp(木岡伸夫)

3 木岡哲学塾の活動状況

 毎月のご案内どおり、以下三とおりの活動を続けています。

Ⅰ 木岡哲学対話の会

 哲学ゼミ

 個人指導

 これもご承知のことと存じますが、8月は上記の活動を休止して、9月からの再開に備えるならいとなっています。「木岡哲学対話」は96日(日)、「哲学ゼミ」は920日(日)、「個人指導」は98日(木)に再開する予定です。それぞれの内容については、921日更新の本ページでお知らせします。

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