- このトピックには2件の返信、1人の参加者があり、最後に木岡伸夫により4年、 6ヶ月前に更新されました。
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土屋隆生ゲスト
木岡先生の「雑感」拝読させていただきました。コロナウイルスに関連して、「差別の現実」と「不要不急の外出自粛」という2つの視点から提示された見解には興味深いものがありましたので、感想を記載させていただきました。
まず、「差別の現実」についてですが、コロナウイルスの発生地域の人びとに対する反応が、その周辺地域と遠方地域とでは異なるのではないか、またその理由はどこにあるかという問いかけがなされています。周辺地域の人のなかに「排除」と「差別」という行動をとる者がいるであろうということは、「雑感」に述べられているとおり、素直に納得することができました。しかし、遠方地域の人が、コロナ感染者を「受難者」と見て「神聖化」することがあり得るという説明には一瞬ビックリしました。
しかし、考えてみると、後者の場合は、余裕をもってコロナウイルスの発生地域の対応を参考にすることができるいわば先生でもあり、また、犠牲者を出しながらもコロナウイルスという敵と戦っている姿を見れば、ある意味で戦士でもあり「受難者」でもあります。そして、その延長線上に「神聖化」が出てくる可能性が考えられ、なるほどと思いました。キリストが人類全体を救済するために十字架に架けられたことや日本においては、生前大きな業績を挙げた歴史的人物である聖徳太子や菅原道真がその後の紛争の結果、「受難者」のような立場に置かれ、死後、神聖な「神」として祀られていることを考えると、「神聖化」にも十分な納得性があるように思いました。ただ、現在のようにコロナウイルスが世界全体に広がってしまった状況では、当初とは受け止め方が変化していることが考えられます。
次に、「不要不急の外出自粛」についてですが、新型コロナインフルエンザ特措法の ① 国民の生命や健康に著しい被害を及ぼすおそれがあること、② 国民生活と経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある場合という2つの要件に該当するとして、政府は緊急事態宣言を発令し、70~80%の外出減少を目標とし国民に外出自粛を要請しました。それが達成できた場合、1か月後には感染者数を大きく減らすことができるということで、「不要不急」の外出は控えるということでした。ただ、「不要不急」の判断は最終的には各人にゆだねられたこともあり、全体的にはまだ目標とする減少率を達成することができていません。専門家会議による外出を80%減らすための10のポイントの中には「オンライン飲み会」まで含まれているのを見ると目標達成への真剣さと同時に難しさが分かります。
日本の場合、憲法との関係で欧米諸国のように国民に対して罰則付きの行動規制をすることはできないため、外出自粛の要請にとどめ、国民一人ひとりが自己の生活の面で、「ウイルスリスクを減らすこと」と「生活と経済を安定させること」との「あいだ」(ここで哲学用語の「あいだ」を勝手に使うと木岡先生に叱られるかも知れませんが)で、自分に適したポイントを見つけ出して行動するほかないのかも知れません。なお、米中の間で、コロナウイルスが世界に蔓延したことに対する責任をお互いになすりつけ合っていますが、最大の問題は、その発生原因がいまだにはっきりしないことにあります。これを解明しておかないとこれからも同じ問題が繰り返されることになるので、世界各国がその解明と今後の発生防止への体制強化に真摯に取り組むことが重要だと思いました。 以 上
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浦靖宜ゲスト
それこそボリス英首相はまるでニーチェの「超人」ような感じを出してますよね。最強の帰還兵のようなイメージです。
今後のあり方について、私は人間である以上、ウイルスと共存せざるを得ないし、これまでもそうしてきたと思っています。もちろんウイルスと人間が仲良くしてきたなんていう牧歌的なイメージでは無いですが、我々が今のように進化してきたのにはウイルスによる人間の遺伝子の変異があったと昨今考えられていますし、ジャレド・ダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』を読んでいても、家畜を営む人類にとってウイルスとの共存は不可避だと考えられます。家畜などを通して、ウイルスは変異するので、10年後、20年後また新型ウイルスがやってくるでしょう。そして感染拡大するときはします。私もかつて新型インフルにはかかりました。その度に毎回こんなことをやっていては社会は終わりです。毎回壁を作るのでしょうか。あれほどヨーロッパ人が移民や難民の問題を議論していたのはどこに行ってしまったのか。今は自国のことで精一杯だと無視していたら、また違う形でしっぺ返しが来そうです。私は私含めて、人類のアホさ加減にうんざりしていますが(もちろん誰もがみな個々の現場で頑張ってますよ)、次、きた時にどうするのか、今回のドタバタが次のパンデミックにどう影響するのか考える必要がありますね。
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木岡伸夫ゲスト
土屋さんに:感染者の「神聖化」という表現に、ビックリされたとのこと。この言い方――留学生K君のものです――に、私も当初、何のことか判らず、キョトンとしました。「木岡哲学塾」初回の討論では、距離の遠近によって、「差別」と「神聖化」が分かれる、というこれまで耳にしたことのないこの意見に、参加者が惹きつけられ、議論が白熱しました。私自身も、〈差別と共感(同情)のあいだ〉というテーマがあることに気づきました。このあたりの議論を、以後の講義・討論に活かしたいと考えています。
浦さんに:〈共感と差別のあいだ〉をどうするかは、国家間の壁をどうつくるのか、どう壊すのか、という実際的な問題に関係します。「今回のドタバタ」を次にどう活かすかが、きちんと議論されるようなら、人類の将来にも多少の希望がもてるかもしれませんが…
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