「木岡哲学塾」のご案内
すでにお知らせしたとおり、関大退職後の2020年4月に、「木岡哲学塾」を開始します
。「木岡哲学対話の会」とは趣を異にし、私自身の学問(風土学)を語ることが、塾の眼
目になります。私の講義を柱にしながらも、さまざまな問題をめぐって参加者と議論を交
わすという方針そのものは、「木岡哲学対話の会」と共通です。各回、前半の講義に1時
間、後半の意見交換・討論に1時間、計2時間を充てます。後半には、希望者による意見発
表の機会を設け、全員で討論します(初回参加者からの聴き取りをもとに、発表の予定を
立てます)。
プログラムをご覧になって、関心を抱かれた方は、参加を申し込んでください。
木岡哲学塾
開催日時:各月第1・3水曜、18:30-20:30
会場:木岡オフィス(阪急京都線相川駅1分)
募集人数:20名(申込先着順)
参加費:500円(資料代・お茶代)
講義予定(予定日・テーマ・講義内容)
A) 上半期:「風土学概説」 テクスト:『〈出会い〉の風土学――対話への誘い』(幻
冬舎新書、2018年、¥800+税)
4.1 オリエンテーション
講義の概要と参加の要領を説明したのち、参加者との意見交換を行う。各自の関心を確
認したうえで、発表予定を立てる(当日、18時に相川駅西改札口集合)。
4.15 風土学とは何か
従来の哲学とは立脚点の異なる「風土学」の立場、和辻哲郎、オギュスタン・ベルク、
木岡の三者による学問的展開のあとを、大まかに説明する。
5.6 地理の哲学
風土学は、「人間存在の空間性」に注目する「地理の哲学」である。人間の世界は、い
かなる意味の環境(風土)であるのかを、地理の視点から明らかにする。
5.20 近代文明批判
近代世界は、人間(主体)と自然(客体)を分ける二元論によって、大きく発展すると
ともに、際限なき欲望による環境破壊に道を拓いた。そのメカニズムを解明する。
6.3 「日本」への問い
明治以後、西洋列強に追いつくべく、「近代化」に邁進した日本。日本は西洋から何を
学びとり、何を見失ったのか。その過程で生じた「日本」への問いとは、いかなるものか
。
6.17 〈脱中心化〉と〈再中心化〉
和辻とは逆に、西洋から日本に来て、二元論の克服を考えたベルク。西洋という文化的
〈中心〉から離れて、日本という〈周辺〉に自己を移したことの意義を考える。
7.1 通態的理性
自己の生きる世界の哲学を自覚し、かつ他の世界の哲学に心を開く〈共生の論理〉は、
可能だろうか。そのモデルとなるべき、ベルクの「通態化」の考えを検討する。
7.15 〈縁〉と〈出会い〉の世界へ
風土学の最重要テーマである〈出会い〉(邂逅)。〈出会い〉とは何か、〈出会い〉が
なぜ重要なのかという問いに、私自身のこれまでの歩みから答える。
(8月は休み)
B)下半期:「〈あいだ〉を開くために」
9.2 欲望の論理
現代社会のハイテク化を加速する原動力――〈欲望〉。資本主義と欲望の関係、〈欲望
の論理〉の実体を解明して、シリーズの導入とする。
9.16 技術と人間
近代以後に飛躍的発展を遂げた科学技術(テクノロジー)。技術が自然の中から生まれ
、自然に対抗して文化の核となる過程に注目して、技術の本質を探る。
10.7 〈かたち〉の論理
同じ原型から、同じ製品を大量生産する近代産業。それに代わるべき選択肢として、伝
統文化に根づく〈かたちの論理〉――〈かた〉と〈かたち〉の相互媒介――を提示する。
10.21 無の論理
西洋の論理とは異なる、東洋の「無」の論理。その西洋にない特徴は何か、なぜ、そう
いう思想が生まれたのかを、東西文明の根本に立ち返って考察する。
11.4 日本人と哲学
philosophyの導入から始まった近代日本の「哲学」。明治以前の日本に哲学が存在した
とすれば、その哲学とはどういうものか。なぜ、それだけでは不十分なのかを考える。
11.18 〈あいだ〉を開く――西洋と日本
他者である西洋との〈邂逅〉から始まった日本の「近代」。たがいに異なる西洋と日本
の〈あいだ〉を開くために、何が必要なのかを考える。
12.2 瞬間から時間へ
時間の意識は、「瞬間」の観念によって支配されている。仏教由来の「刹那」と「瞬間
」を突き合わせることによって、東西両文明に共通の源泉を探り当てる試み。
12.16 〈出会い〉の時空
年間講義の最終回として、異なる主体が出会う場(時空)の構造とは、いかなるものか
を論じる。これをもって、〈出会いの風土学〉の結びとしたい。
(1~3月は休み)
以上の予定(日程・テーマ・内容)は、主宰者および参加者の都合により、変更される
場合があることを、ご承知ください。ご検討の上、参加を希望される方は、下記アドレス
宛て、もしくは「問い合わせフォーム」(出会いの広場)をつうじて、申し込んでくださ
い。
n.kioka@s3.dion.ne.jp
木岡伸夫