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2023年11月21日新着情報

1 阪神優勝

「阪神日本一」が、『朝日新聞』(11.6朝刊)第一面最上段の見出しに躍りました。驚いたと同時に、連日の「ガザ空爆」よりも読者の受け容れやすいニュースだから、それも当然か、と受けとめました。阪神ファンのみなさんに、「おめでとう」と言わなければなりません。と言うと、お前はどうなんや、という声が返ってくるでしょう。このさい言わせてもらうなら、私はオリックスのファン。少しもメデタイ気分ではありません。第7戦先発の宮城が、4回表、ノイジーに3ランを浴びた。その裏の攻撃が、青柳に抑え込まれた時点で、早々とテレビのスイッチを切りました。

昨日、自宅での個人指導が終わった帰りがけに、塾生O君が、帰宅して日本シリーズを観る、と一言。「一点差で勝ってほしい」と、阪神に肩入れするO君に対して、「こちらはそうではない」と返したことから、夢にも思わなかったプロ野球談議となりました。読者の中では、阪神を応援する人の方が、オリックスのファンよりも圧倒的に多いでしょう。自分が後者だと言ったなら、どうしてまた?と訊かれることを予想します。大阪在住で阪神ファンを名乗る人に対して、理由を問う人など、誰もいないでしょうにね。

理由など、どうでもよいのです、こちらにとっては。地元大正区にある京セラドームは、オリックスの本拠地。たまたま地元だから……というのは、コジツケにすぎません。昔、近鉄バファローズが在阪球団の一つであったときは、ふつうに関西人の一人として、ひいきにしていました。その近鉄が、経営上の理由から無くなり、あろうことかライヴァル球団オリックス・ブルーウェーブに、選手のほか球団名である「バファローズ」まで、まとめて引き取らせたときには、何といういい加減なやり口か、という憤りを抑えられませんでした。しかし、経営者連中の読みは、したたかです。たとえ元のチームが消滅しても、その名を別のチームに残しておいて10年もすれば、そちらにファンがつくだろう、と。不人気であったオリックス、「ケチ鉄」とまで呼ばれた近鉄、双方の思惑が一致して、「オリックス・バファローズ」というケッタイな合成物が生まれたわけです。

小学生のころ、英文毎日の記者であった父親に、センバツ(毎日新聞主催)の観戦に連れられたことから、高校野球のファンになり、続いてプロ野球も観るようになりました――長島の活躍に熱中する巨人ファン、というお決まりのコースです。これまでいろいろ紆余曲折はあっても、高校野球もプロ野球も見続けているのは、やはり野球が好きだからでしょう。と同時に、阪神ファンの多くが内に秘める「コンプレックス」といったものが、自分のうちにも働いていることが分かります――日本のWBC優勝に熱狂した今春、それをまざまざと自覚しました。誰にも言うつもりのない、当然書くつもりもなかったプロ野球のことを書いたのは、テーマとするパレスチナ問題のほか口にしなかったO君が、それを話題にしたからです。O君は、高校を出てから長い間、他人からの助言を受けることなく、ただ一人で哲学を続けてきた人。そういう人と縁を結んでから、丸2年。その彼が、阪神タイガースを応援しているという当たり前の事実を知ったことで、この一文を草する気になりました。

 

2 木岡哲学塾の活動状況

Ⅰ 木岡哲学対話の会

◎報告(第8回)

 ○日時:11月12日(日)13:00-16:00

 ○会場:大阪駅前第三ビル17F第7会議室

 ○内容:

 ⑴哲学対話:《パレスチナのゆくえ》

 発表:丘 政彦《「沈黙を破る」ということ》

 「沈黙を破る」は、イスラエルの左派に属する市民団体名。政府の方針を批判する人々の声を収録したDVD、書物――日本人ジャーナリスト作成――の内容が紹介されました。

 発表自体は、10.7以降の現地情勢とは関係なく、以前から準備されていたものです。まったく偶然の一致ですが、驚くべきタイミングでこの内容となりました。

 ⑵哲学講話:《国家の論理(下)――「戦争」について(3)》

 ベルクソンが「閉じた社会」と規定した国家。その国家が、個の自己犠牲によって開かれるとする田辺元の「種の論理」を紹介して、その思考に潜む落とし穴を指摘しました。国家と個人の関係を追究する講話の狙いは、上の「哲学対話」とも共通します。

 

 →国家の論理(下)

 

◎次回(第9回)の案内

 ○日時:12月3日(日)13:00-16:00

 ○会場:大阪駅前第三ビル17F第7会議室

 ○内容:

 ⑴哲学講話:《あいだに立つ――「戦争」について(4)》

 当事者以外の第三者が仲裁する――〈あいだ〉に立つ――とは、どういうことか。それによって、何がどう変化するのか。現下の世界情勢を念頭に、国際社会およびわれわれ自身にとっての急務を考えます。

 

 ⑵哲学対話:《デジタルの壁》

 発表:口ノ町一男《デジタル雑感》

 人は進化するデジタルの壁にどう向き合い、寄り添っていけばよいのか。防災福祉に携わる発表者からの報告をもとに、問題を共有します。

 

Ⅱ 哲学ゼミ

後期の第三回を、次のとおり行いました。

○日時:11月19日(日)13:00-16:00

○会場:木岡自宅

○プログラム

 1)木岡伸夫『邂逅の論理』(春秋社、2017年)「第八章 アナロギアの論理」の読解。

 2)発表・討論。

 「荀子の思想について」(発表)をめぐる討論。

 3)何でも相談

 

Ⅲ 個人指導

○会場:木岡自宅

○開催日:水・金・日(上記イベントの開催日を除く)の午後(原則として、13-17時のあいだの2時間程度)。事前の予約をお願いします。

○内容:参加者の要望に応じて、読書指導・語学指導・作文指導などを中心に、研究上の助言を行っています。月1回ないし2回(隔週)のレッスンが標準です。

 

以上の催しに参加を希望される方は、次のアドレスまでお申し込みください。

 n.kioka@s3.dion.ne.jp

 

 

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